ゴールデンウィーク間近、琉球に行く時間も無いしそれでもなにか短報か自分の考えるネタの材料をどこかで採集したい、

そんな気持ちの中思いついたのが「紀伊半島の昆虫相は一体どんなものなのか?」と、言う疑問である。

なら行ってみようと招集をかけた見たところ3年の宮尾、川村が集まった。

我々のネタ探しの紀伊半島気候が始まった。

一日目

神奈川県から夜行バスで大阪駅まで行き、そこから紀伊田辺を目指す。


到着。まさに快晴!これからの採集が楽しみである。


レンタカーを借りた後、近くの神社林に直行した。神社林は良好な照葉樹林が残っている場合が多い。

狙いどおり、神社の背後に比較的大きな森があり、そこからタケウチヒゲナガコバネカミキリ、イチハシシギゾウムシを得ることが出来た。

花救いでは多くのハナムグリが見られた。


ただそれ以上の成果の見込みが無かったので北上しながら近くの渓谷へ。

各自採集して行く中で、私はゾウムシを多数採集していく。中には未採集品や珍しい種も混じっていた。



オビモンヒョウタンゾウムシが多数採集できた。この種は近年分類学的研究がなされつつあり今後の研究が興味深い種である。

どんどん北上していくとだんだん山の様相が変化してくる。照葉樹林に混じり、杉の植林が目立ってくる。

今回はそのような場所を避け北部の残されたブナ帯を目指す。



道中、比較的規模の大きな貯木場を発見した。

三人で念入りにカミキリムシを探していくと多くは無いが数種のカミキリムシや材性甲虫を採集できた。



その後、ブナ帯に到着した。既に日が沈み始め5月とは思えないような寒さのなか採集を開始した。

キイニセコルリクワガタと  クワガタ、トガリバホソコバネカミキリの採集が目的だ。

私と、川村は今一コルリの採集方法がつかめず、1頭の幼虫の採集で終わってしまったが、宮尾はさすがクワガタ屋というべきか

既に3個体の成虫を割り出していた。

トガリバホソコバネカミキリは多数の羽化が見込めそうな材を発見しそれを持って下山する事になった。



宿泊夕飯は近くの道の駅で行なう。0度近い気温の中のカレーはめちゃくちゃ上手い。

二人は車中泊、一人はテント泊に決まりじゃんけんで敗北した川村がテント泊になった。

しかし夜は寒すぎたマイナスにもなる温度の中川村はテント泊に耐え切れず暖房の効く車に避難してきた。

結局三人で来るまで寝る事になった。

二日目

クソ寒い中目が覚める。車から這い出すと5度くらいしかなくて、春の採集スタイルが出来ない事に気づかされた。

早めに護摩壇に登り昨日のリベンジを果たそうという事になった。




寒空の中、コルリを探す。

一時間した頃だろうか、足元の枝を割るととうとう自分も採集することが出来た。しかし、宮尾いわくキイニセコルリかキンキコルリか怪しいらしい・・・。



まだ、ブナは芽吹いたばかりだった。かなりの早春を思わせる。

しばし堪能し、今度は川村御希望のナンキセダカのポイントを目指す事にした。

二時間ほど車を走らせポイント麓まで着いた。後は尾根付近まで上がるだけ・・・。

意外と早く着いて全員に安どの表情が現れたが、



しかし!!






まさかのがけ崩れいつかの台風の影響は未だに残っていた・・・。

仕方なしにもと来た道を戻ることに・・・

せっかくここまで来たのに残念感だけが心にもやもや残る。
上に上ればナンキセダカコブヤハズが得られたはずだろう・・・。


採集地にすらたどり着けなかった悔しさを胸に、和歌山の山地を離れ、黄昏の沿岸部へとたどり着いた。

今日は、ここが宿泊所となった。



今日は、海岸林で採集。もちろん私はゾウムシ。宮尾はルイスツノヒョウタンを、川村はナンキセダカのショックで少ししなびていたがカミキリを狙う。

着々と未採集種のゾウムシを集め、悠々と集合場所に戻るが、宮尾も川村もいまいちだったそう。

しかしこの地点で宮尾が未記載種のヒメミツギリゾウを採集し大いに驚いた!



温暖な環境で様々なゾウムシに混じり南方系の種や、    路上わきにはオオタニワタリが生え、沖縄県を思わせる・・・。

この後数箇所を巡ったがルイスツノヒョウタンは見つからなかった。


巡る内に、夜になったので今夜は和歌山県某所で宿泊。写真右の変態共。気温は10度ほどである・・・。右が川村、左が筆者。

朝になり朝食を採った後、今日は最終日なので早急に採集に出かける。と、言うよりいつもどうりすぐに採集に。



まずは海岸林のゾウムシを落とすべく砂浜へ。シイシギゾウやゴボウゾウの一種。サルゾウ3種。その他多くのゾウムシが得られた。


最後に、川村のために山間部再突入し、シイの花に集まるカミキリを狙う。アメイロカミキリや普通種のカミキリしかえられなかったようだが、

今後の採集の肩慣らしにはなっただろう。



お疲れ様です!!


                                                                                            
3年 藤澤 侑典




和歌山県紀伊半島採集紀行
春の昆虫採集